エネルギーの素

 

高校での仕事での話。

 

学校に来ると体調不良が出てしまい、

早退が続いているため、

本人もお母さんも先生も困っている。

 

高校は授業に出られないと、

すぐ単位落としちゃうから大変なんだよね。

 

 

まず本人、そしてお母さんと面談して

最後に担任の先生とお話しました。

 

 

本人は発達特性のある子で、それゆえに

コミュニケーションに苦手意識があり、

実際に友人との間でトラブルもあった。

加えて、多動や敏感さもあって、

多くの人と一緒に過ごす教室という場や

座って集中することを求められる授業に

人一倍疲れてしまうのだろうと思われた。

 

 

でも、

自分のことをよく見ることができていて

日々いろんなことを我慢して

心の器にためていたら、

それが満タンになってしまって

動けなくなったと言っていた。

それが体調不良の原因だって。

 

だから、動けない数日は欠席して、

それ以降は体調を見ながら早退を

続けているという状況だった。

 

休んで自分の好きなことをやったら

心の器に少しスキマができたから、

早退続きではあるけれど、

今は学校に来ることはできている。

 

好きなことやって、

自分の心と身体を充電させて

また頑張りに行くって

自分と向き合って

うまくやりくりしている証拠だと思う。

 

人一倍疲れちゃうから、

まだ早退せずにいられるほどは

回復していないけど、

方向性は間違っていないと私は思った。

 

 

ところが、

これが学校目線になっちゃうと、

授業には出られないのに

休日の部活だけ来るなんて…とか、

始業前に学校外でスマホゲームを

やってから登校してきたと思ったら

毎日途中で早退するなんて…とか、

休日に遊びには行けるのに

課題はやれませんでしたなんて…とか、

やりたいことだけやるなんて

他の生徒への示しもつかないので

認めるわけにはいきませんってなる。

 

んー、でも本人にとっては

部活もスマホゲームも遊びに行くのも

「充電」だからねえ…。

まず充電して元気になってはじめて

好きじゃないけど頑張りたい学校の

授業や課題に取り組むことができるのに、

電源を断たれたら、よけい頑張れない。

 

そこがなかなか理解されづらい部分。

充電にどれくらい時間がかかるかも

人それぞれだから、

ゲームばっかりとか

寝てばっかりとかの状態を

いつまで見守ればいいのかもわからず

不安になるのもわかるし、

実際、エネルギーの不足が著しくて

充電している間に単位を落としてしまう

こともあり得るから、難しいんだけど。

 

でも、本人はそれもわかっていた。

もしこの先、単位を落として留年になっても

今この身体の方が大事なのでそれは仕方ないって。

私が見習いたいくらいのイマココ意識!

 

 

先生は先生の立場で先生なりに

本人のことを思ってくれているのもわかるので

気持ちの折り合いをつけるのが難しくはあるけど、

学校のルールや他生徒とのバランスは取りつつ、

ゲームや部活や休養が、

本人が授業や課題を頑張るための

エネルギーの素であることは理解してほしいと

話して終わりました。

 

 

自分の心や身体に何が必要なのかは

子どもが一番わかっていたりするよね。

 

ただ、うまく伝えられなかったり

理解してもらいにくかったりするから

そんな時に間に入って代弁するのも

ソーシャルワーカーの大事な役割です。